先日、名古屋の裁判所に行くついでに、美味いと言われているラーメン屋に行った。
そこの店主は何百軒もラーメン屋を渡り歩いて研究を重ねたということらしい。
さて、研究の成果をみせてもらおうじゃないか。のれんをくぐった。
出てきたラーメンのスープを一口すする。無言。。。のち感嘆。
いいワインを一口飲むとブドウ畑が広がる。そんな感動。
完食後、素直に思ったのは、「食べさせてくれてありがとう。修行してくれてありがとう。」
店主と店員の「ありがとうございました」に、客が「ありがとうございました」と返すのはなんとなく気恥ずかしかったので、
店主の目をしっかり見て「ご馳走様でした」と伝えた。自分の感謝はきっと伝わったはずだ。
店を出てふと思う。
そういえば自分はお客様にありがとうと言えているのか、と。
「うちのラーメン食べてくれてありがとう」と同じように、「私に法律相談させてくれてありがとう。受任させてくれてありがとう。」と。
普段からそう思うようにしなきゃいけないなとは考えてはいるが、日々忘れがちになる。
法律相談終わりや事件終了打合せの際に、お客様は必ずありがとうございましたと言ってくださる。
先にありがとうの言葉を受けるから、どうしても弁護士はいい気になってしまう。やってやったぞ、と。
客側に感謝されるのが常態化している職業など、なかなかないだろう。
頭を下げてお仕事をもらう、そんな風土が弁護士業界にはない。
「今日は来ていただいてありがとうございました」と先に言える弁護士でありたい。
そして、心からそう思っていないと、いい法律相談、いい事件処理はできない(綺麗事じゃなくてこれは絶対そう)。
ラーメン屋の店主に気付かせてもらえた。