相続
- 相続トラブルには弁護士の活用を
相続は、遺族から見るとプラスの遺産を受け継ぐものであり、遺族が経済的に損をする場面があまりありません。この点は、離婚や交通事故など、身銭を切る、損害を回復する、という苦しいプロセスを経るものとは異なります。しかし、相続問題にはこれらとは異なる性質の苦悩がつきものです。- 故人との関わりの歴史は、遺族それぞれであり、遺族全員がその歴史を共有・共感できればいいものの、それができない場合に、各遺族の感情の対立が顕在化するのが相続の場面です。1人の遺族の、故人をめぐる想いは、到底ほかの遺族には理解ができません。この場面では「相手の立場になって考える」ということができません。こうなると、遺産分割等をめぐる話合いは絶対にできませんし、時間の経過が解決してくれることもありません。
- 遺産分割の問題は、話合いがまとまらなければ、最終的には裁判官が判断を下します。その判断の際には、各遺族の故人をめぐる歴史に対する感情は汲み入れられません。それはいささか無味乾燥です。やはり、争いのプロセスの中で、各遺族の想いをほかの遺族が理解し、許し、譲歩する、という行為を積むことが「德」であると感じます。故人もそれを望むことでしょう。
- 遺族それぞれに弁護士がつき、それぞれが法的知識とその限界を理解すると同時に、相手方の感情も考えることによって、ようやく解決はよい方向に向かいます。
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- 相続対策にも弁護士の活用を
弁護士の介入により、法律に則った公正な相続を実現できます。 弁護士に相談せずに相続対策を行った場合、思わぬ法律上の落とし穴により、相続対策そのものが無意味になってしまう可能性もあります。 不備のない相続対策には専門的な法律知識が必要です。インターネットや専門書には一般論・抽象論しか記載されていないので、それらを参考にした事案に合わない対策は、結局役立たなかった、というおそれがあります。個別具体的な案件についての対応力は、弁護士に優るものはありません。- 当事務所では、税理士及び不動産業者と緊密に連携しており、迅速かつ幅広い対応が可能です。不動産がらみのご相談も是非お任せください。
- 取扱いの多さと広さ
当事務所において、相続案件は、その取り扱いが一番多く、かつ、弁護士が一番関心を持っている分野です。相続問題は、法的論点のほかに、税務や不動産の知識も必要となり、弁護士が扱う業務のなかでも極めて専門性の高い分野です。- 当事務所では、遺言や任意後見制度にとって代わる、相続対策イノベーションとも言われる「家族信託」の業務にも力を入れております。また、一般的には司法書士業務に属する「相続登記」も、事件処理に伴い、当事務所で行っております。
- 緻密な調査をします
まず大きな問題は、遺産である「不動産の時価」の問題です。単純に、一般論(宅地は路線価額、農地は倍率方式、建物は固定資産評価額)をもって行うべきではありません。不動産業者による時価額の査定、売却の可能性、売却した場合の諸費用(譲渡所得税など)などを考慮し、どのように時価を捉えるのが衡平かを詳細に検討します。- 次に、多くの事例では、寄与分や特別受益の問題が生じます。生前に被相続人の財産形成に寄与した相続人がいた場合にそれを相続に反映すべきとするのが前者、生前に被相続人から経済的な受益を受けた相続人がいた場合にそれを相続に反映すべきとするのが後者です。また、使途不明金の問題も多くあります。被相続人の預金口座から多額の資金(1日に50万円ずつ)が払い戻されており、それが被相続人と同居する相続人による不正な取得ではないかと疑われる問題です。このような事例においては、預金の取引履歴から、表を作成し、お金の流れを緻密に調査することが必要となります。
- 当事務所では、このような緻密な調査を必ず行っています。
- センシティブな交渉はお任せ下さい
相続案件では、前述の遺族間でのすれ違いの問題があることから、その初動(遺産分割協議の申入れなど)からセンシティブな対応が求められます。相手方本人に対する初めての手紙の文面や内容において、少しでも相手方の癇に障るものがあると、後日の交渉ができなくなるほどの爪痕を残してしまいます。- このあたりの対応は、相手方本人のキャラクターに応じて柔軟かつ臨機応変に変化させる必要があり、普段からそれを生業にしていないとなかなか難しいものです。
- 相続案件では、結果はみえてはいるが、それに至る交渉に困難を極める、という場合も多くあります。スムーズな交渉のために是非弁護士をご活用ください。
- 争いになりそうにない場合であっても遺言を
「子ども達は仲が良いから自分の遺産相続で争いが起きるはずがない」と考えておられる方がほとんどかと思います。しかし、そのような考えは自分の願望にすぎないかもしれません。いざというときに欲や感情を抑えられないのが人間の性です。自分の死後、それまで仲が良かった(良いように見えた)子ども達の間に、修復不可能な亀裂が入る、ということも少なくありません。- 「家を継いだ長男がすべての遺産を継いで当然」という時代は終わりました。すべての遺産を継いだ遺族に対する他の遺族からの遺留分の請求が、特に何らの心理的抵抗もなく行われる時代となりました。このような争いが生じた場合、遺族らの関係性に目を向けず、争いを未然に防ごうとしなかった故人の責任でもある、と考えることもできます。
- このような極端な場合でなくとも、「遺産は平等に」と日頃から遺族に諭しており、遺族もそのつもりであったときであっても、争いとなってしまう場面もあります。自宅不動産を特定の遺族が相続する場合、その自宅の価値をどう設定するかによって、平等となる金額に差が生じるからです。
- 他方、故人の遺言がない相続の場合であっても、特段の争いなく遺産分割協議が整うことがほとんどです。ただ、この場合であっても、特定の遺族が不満を口に出せずに渋々印鑑を押しているかもしれません。
- 遺言を作成するということは「遺族のことを考えていることを示すこと」です。故人の想いは、遺族のその後の心の在り方、生き方に大きく影響します。一方で、遺言書作成のハードル(面倒や費用など)は極めて低いものです。是非、遺言の作成を提言します。
- 遺言作成の費用
【自筆証書遺言の場合】- 当事務所において、弁護士のアドバイスのもと、自筆にて遺言をご作成していただきます。作成後の遺言を当事務所にて保管することも行っています。
- 弁護士費用は、手数料30,000円(税別)~としています。
- 【公正証書遺言の場合】
- 依頼者様の意向を聞き、弁護士が遺言条項案を作成し、公証人と協議の上、遺言条項を完成させます。後日、依頼者様が公証役場にて、証人2名立会いのもと、公証人の面前で遺言内容を確認し、遺言を作成します。2名の証人をご用意できない方は、当事務所の弁護士及び事務員が証人となります。
- 弁護士費用は、手数料80,000円(税別)~が基本で、証人2名の立会いを必要とする場合には、2名分の日当としてプラス20,000円(税別)としています。
- これに加えて、公証役場にお支払いいただく公証人手数料が発生します。金額は遺産の額に応じますが、おおよそ1万円~3万円です。
- ※上記手数料は、遺言の内容の複雑さに応じて変動があります。